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AEDのこと その① 心臓の刺激伝導系と心室細動 [健康]

(私はサッカーのことはよく分からないのですが)
先日も、日本のサッカーをここまで引っ張ってきたまだまだ若い選手が、急性心筋梗塞の発症で亡くなりました。

食事や栄養のバランスを常に考えながらトレーニングを続けているトップアスリートでさえ、急性の心筋梗塞にはかなわない

病気は本当に怖いですね。

この事故の時にも改めて話題になりましたが、

今、人が集まるところ・・・
駅、デパート、中学校や高校、マンションやゴルフ場、地下街、空港、パチンコ屋、ゲームセンター、スポーツ施設、ケーブルテレビの営業車、タクシー(一部)等々
には、「AED」という医療機器が設置されているところが増えてきています。

AED Automated External Defibrillator   自動体外除細動器

どこかで一度は目にされていると思いますし、
ひょっとすると、消防や地域のカルチャースクール等で講習を受けた方もいらっしゃるかも知れません。

このような状態で色々なところに設置されています。
(この写真は、先日私が皮膚線維腫切除手術を受けた大学病院の院内設置の例です)

AED

 


最近、「AED」という言葉だけが先行してしまっているような気がずっとしていたので
私が分かる範囲で、できるだけわかりやすく記事にさせていただきます。

誤記や、間違った解釈があった場合は、是非ご指摘をお願いします

2回~3回の連載になる予定です。

まず今回は、AEDについての概論です。

◆心臓は何をしているか?
  • 肺でガス交換され酸素を多く取り込んだ血液を、心臓(左心室)が「体循環」に送り出して身体の隅々まで血液を巡らせる。
  • 人の身体の他の部位と違い、心臓の筋肉(心筋)には、「自動能」(心筋細胞自体が、一定のリズムで発電し、電気パルスを発生させる)を持つ部位が数カ所ある。
  • 普段 「心拍数」として数えているのは、その「自動能」の最上位である「洞結節」(右心房内の上の方にある)が刻むリズムである。(sinus node )
  • ちなみに、手首や頸動脈に指を当てて測る「脈拍数」は、心臓から駆出された血液の圧力が血管壁を押している拍動の数 に触れているもので、厳密には、「心拍数」とは違う意味を持ちます
  • この「洞結節」から出た電気パルス(60~80/BPS)が心臓内で伝搬する経路は決まっている。 
  • これを、「刺激伝導系」とよびます。
  • 洞結節→洞房結節→房室結節→HIS束→右脚・左脚→プルキンエ繊維→右室壁・左室壁
  • 「洞結節」がうまく働かなくなった場合、代わって上の順序での次の部位の自動能が動作しバックアップを始める。 ただし、普段は「洞結節」のリズムに支配されているので、下位の自動能は、その部位によりリズムが遅くなる。
・・・という「刺激伝導系」をアニメーション動画で示したのが、下図です。
始めに、左上の部分(右心房内上部)の洞結節から出たパルスが、刺激伝導系を通って、
最終的に左心室を収縮させ、体循環へ駆出します。


・・・こうして、人が生まれたときから休むことなく、リズムを刻み続けているわけです
(心臓が疲れてしまわないように、労ってあげましょう・・・!!)

日本人の三大死因は・・・ 癌、心疾患、脳卒中 です。
この中で、AED の効果が期待できるのは・・・ 心疾患 の一部です

◆AED は、何に効くのか?

  • 洞結節から出た電気パルスは、上記 「刺激伝導系」を経由し心臓内を走り、左心室の収縮で新鮮血を体循環に駆出するのですが、色々な要因(刺激伝導系以外の経路ができてしまったり、心筋自体に酸素や栄養を補給するための冠状動脈の一部が詰まって、その先の血管が支配している心筋に血液が廻らなくなり、心筋がダメージを受ける) で、このリズムが乱れることがある。
  • これを不整脈 という。 健常人でも普段から不整脈は発生しているのですが、その中でも「重篤な不整脈」と分類されるものがあります。
  • 特に危険な不整脈のひとつが、「心室細動」(VF: Ventricular Fibrillation)です
  • VF は、心室内の色々な部位が無秩序に興奮・収縮して、痙攣を起こしたような状態 になります。
  • 一度VFが始まってしまうと、最も重要な、「体循環」への新鮮血の駆出 ができなくなります
  • その為、血圧低下、脳への血液循環が止まってしまい、意識がなくなり、数分続いてしまうと、
    脳細胞の壊死がはじまってしまいます
  • この、最も危険な不整脈 「心室細動」 を除去するための治療機器が、AED です
心室細動発生時の心臓 特に心室周辺の動きは、
袋の中にネズミをたくさん入れたような状態」と表現され、
開胸オペ中の心室細動を見ると、まさにそのような表現がピッタリです。

下図のアニメーションではスタートしてからは同調律での正常収縮ですが、
スタート後5秒あたりから、VFに移行します

これがまさに「袋の中にネズミをたくさん入れたような状態」で、
こうなると、体循環への血液の駆出ができなくなります。
で、その後 約11秒あたりで、AEDによるカウンタショックがかけられ、
正常収縮に戻る というアニメーションです。



除細動器(デフィブリレータ)は、昔から救命センターやCCU、ICU、カテ室、オペ室等に設置されていました。

除細動器は医療機器の中でも危険な治療機器のひとつで、元々 ドクターが操作する機器でした。
除細動器は、体表面からの除細動はもちろん、開胸オペ中に、直接心臓に「おしゃもじ」のようなパドル電極でカウンタショックを与えることにも使われます。

それが、救急搬送時にも、「ドクターの指示」のもとで、セミオート除細動器を救急救命士が取り扱えるように法改正され(2003年)、これによる有用性が実証されたため、翌年(2004年)から、オートマチックになったAED を、一般市民も操作できるようになりました。

これがきっかけで爆発的に普及し、
身近になった医療機器がAEDです。

以上、非常に総論的ではありますが、

  • 心疾患の中で、心室細動が起こると非常に危険であること
  • 心室細動の発作で失神してしまっている人がいたら、呼吸の有無の確認及び気道の確保をしつつできるだけ早く救急に連絡し、近くにAEDがあったら、準備をすること

AEDの動作については、次の記事に書かせていただきます。

日本心臓財団のページ

※心臓の動き 及び 救急救命方法、AED操作 等についての詳細は、
  最寄りの消防署、医療機関等へお問い合わせください。


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コメント 13

hidechan

のろさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-08-17 16:21) 

hidechan

yangt3さん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-08-17 16:22) 

hidechan

e-g-gさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-08-17 19:42) 

大将

確かに痛ましい事故
AEDがあれば。。。もしかしたら?
寿命と言えばそれまでになってしまう
それが助ける事が出来るかもしれない機械が今はある
心臓の事やAEDの事は何となくはわかっているつもりでしたが
こうして活字で見てみると知らないといった方が正解ですね
たまたま、ニュースでAEDを持ち込んで話をしていましたが
思っていたものよりも信頼性は高いんですね
と、言うのも
絵と音声で使い方がその場でわかる
これはとても大事ですね
心臓も休めると良いんですけどねぇ
by 大将 (2011-08-17 20:31) 

mistta

今晩は。確かにこれが有れば絶対の医療機器ではありませんが、何かあったとき、無いと悔やまれそうです。
by mistta (2011-08-17 21:32) 

ヒロ

私は「応急手当普及員」という資格を持っています。簡単に言うと、事業所や近所の人にAEDの使い方やそこに至る救急救命の方法を人に教えることのできる資格です。もっとも、医者や救命隊員でもなく一般の会社員ですので高度な専門知識はありませんが、それでも人並み以上に知識は持っているつもりです。
実際の講習の場でこのような画像があればとても進めやすいです。お借りしてもよろしいでしょうか?
by ヒロ (2011-08-18 10:25) 

hidechan

大将さん、ありがとうございます。
今はこれだけ優れた医療機器があり、しかも私たち一般人でも、有事の際には使用していい という時代です。
台数の普及だけに注目せずに、テレビや家電のように、誰でも取り扱えるようになるといいですね。

記事を書きながらも、改めて色々と勉強のし直しです(汗)
私が研修を受けた当時から、医療レベルも背景もだいぶ変化していて、「知識のバージョンアップ」の必要性を痛感しています(汗汗)

>心臓も休めると良いんですけどねぇ

・・・いつもそう思います。
母親の身体の中に生を受けてからずっと動き続けている・・・
疲れるときもあるだろう・・・と、本当に思います。

(本棚を探しているのですが、見つからない・・・)
だいぶ昔、新書で、確か題名は「ネズミの時間 ゾウの時間」(逆だったかな・・・??)という本を読んで、おもしろいなぁ と思った覚えがあります。

詳細は忘れてしまったのですが、
「哺乳動物は、一生の間に心臓が鼓動する数はほぼ一定」 
ということについて書かれていました。

つまり、大型ほ乳類の「ゾウ」の心拍数はとても少ない(鯨もそうですね)
比べて、ネズミの心拍数は、200くらい・・・

逆に、心拍数が低い大型動物の寿命はとても長い(ゾウは、100年くらい生きるそうですね。)
ネズミの寿命は推して知るべし・・・

そう考えると、寿命(一生)のなかで心臓が鼓動する数は、ある程度一定なんじゃないか・・・ という内容でした。

セカセカ生きると、寿命が短くなるんだ・・・ って、その時に思いながら読んだことを、突然思い出しました。
by hidechan (2011-08-18 13:06) 

hidechan

misttaさん、ありがとうございます。
いくら技術が進歩しても・・・
絶対の医療機器は・・・ どうなんでしょうか・・・

所詮「機械」なので、壊れるときもあるし、誤動作するときもある。
医療機器は、そんなことは限りなくゼロであるべきだと思います。

後は、私たち一般市民がきちっと正しい使い方を知ること。
これに尽きるような気がしています。
by hidechan (2011-08-18 13:11) 

hidechan

たかれろさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-08-18 13:12) 

hidechan

ヒロさん、ありがとうございます。
きちっと勉強されて、資格も取得されているんですね。
すばらしいことだと思います。

今回、一連の記事で使っている動画は、できるだけわかりやすいものをYouTubeで探して掲載しました。

ですので、転用に関してはYouTubeの著作権をご確認ください
YouTube著作権 → http://www.youtube.com/t/copyright_notice

また、静止画(波形や心臓の画 等)は、私が描き起こしたものですので、ご利用いただいて結構です。
by hidechan (2011-08-18 13:20) 

大将

心臓の鼓動する数が一緒と言うのは聞いた事あります
その時、大将もドキドキしないで
のんびり生きれば良いんだなぁと単純に感心しましたよ
by 大将 (2011-08-19 00:28) 

hidechan

大将さん、そのとおりですね!!
のんびり、きっちり、生きましょう!!!
by hidechan (2011-08-21 19:42) 

hidechan

井上酒店さん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-08-21 19:43) 

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